東海道が執務室に入ると、山陽が机に突っ伏していた。
どこか具合でも悪いのかと、あわてて駆け寄るが、穏やかな寝息が聞こえてきて、東海道の肩から力が抜ける。
「最近、忙しかったもんな…」
口元をだらしなく緩ませて眠る山陽に東海道は苦笑いを浮かべた。
午後の日差しが山陽の背中に降り注いでいて風邪をひく心配はしばらくは無いだろう。
そう思って、東海道は足音を忍ばせて山陽の寝顔を覗き込む。
「あれ…結構、髪伸びてたんだ」
東海道よりほんの少しだけ高い位置にある普段見ることができない山陽の頭頂部が本来の髪の色に戻りつつあった。
日光のせいで、普段よりも明るく見える髪に、地色の黒はほんの僅かな筈なのに、妙に目立つ。
「……ぷりん」
こんな状態をそう、呼ぶと在来の誰かが言っていたことを唐突に思い出す。
山陽の髪の色では、少々無理があるかもしれないが、それで言われてみれば上手い表現だと思っていると、唐突にプリンが食べたくなってきた。
ゆるやかな日差しが降る午後。
列車は全て通常運転で特に問題は無し。
ちらりと時計を確認すれば、もうすぐ午後三時。
東海道は、そのままそっと執務室を後にする。
◆ ◆ ◆
十分後。
東海道が再び執務室に戻ってくると、中から何やら騒がし声が漏れ出でていた。
「声が、外まで聞こえてるぜ」
「あっ!ジュニア!!助けてぇ!!!」
「馬鹿者!東海道に助けを求めるなっ!居眠りをしているお前が悪い!!」
東海道の姿を確認した二人の上官は、ぎゃいぎゃいと東海道に自分の主張をする。
いつもの事なので、二人を放っておいて東海道は、ガサガサと手にしていた白いビニール袋を持って、奥に設置されている簡易キッチンでコーヒーをそれぞれの好みに淹れた後、テーブルに並べた。
「聞いているのか、山陽!」
「だから、悪いって言ってるだろ。ちょっとうたた寝してただけじゃん」
「ちょっと?あれが、ちょっとと言うのか!」
「ちょっと休憩しねぇ?」
まだまだ続きそうだった二人だったが、どこか楽しそうな東海道に、何故か素直に頷いてしまう。
テーブルに並べられたのは、コーヒーだけではなく、ぷっちんするタイプのプリンが並べられていた。
当然、ぷっちんできるよう、皿も準備されている。
ペリペリと蓋を剥がしてぷっちんをした東海道は、カラメルを頂に乗せてぷるぷると震えるプリンの姿にご満悦だった。
何が何だかよくわからないが、二人も東海道にならってプリンをぷっちんする。
東海道がプリンを買ってきた理由はわからないが、彼の機嫌が良いことには変わりが無く、プリンを食べ終わるまでのわずかな時間は、この部屋にほんわかとした空気が充満していた。
数日後、東海道のプリンの理由を聞いた山陽が泣きそうになりながらカラーを買いに行った事は、他の高速鉄道たちの爆笑を誘う事となる。
終わり
よくわからんけど、ぷっちんするジュニアは可愛い。そういう話だ!
この場合、プリンはスーパーの特売の三連プリンに違いないと思っている。
だから残りの一個は、山陽さんが食べると良い。
何だかんだで仲良しなんだ。この人達!
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