ガサガサと音を立てて袋の中身を取り出せば、予想と違わぬそれに東海道が笑みを浮かべる。
ほぼ自分と同じ年月を重ねた歴史を持つアンパンには、東海道には色々な思い出があった。
そして、この場所にも同じだけに近い数の思い出があり、それを思い出した今日、ここにやってきたのだ。
小さかった頃でも小ぶりなそれは、成長した手には尚更小さく転がる。
「この大きさ、高崎辺りなら、一口で食べれそうだな」
「違いない」
そんな事を言いながら、東海道がパンを両手で半分に割ると、その半分を本線に渡した。
「俺の分は、そこに入ってるぞ?」
「ん~何となく?」
深くは追及しないで、本線は東海道の腕を取って、そこからアンパンを食べるついでに、指先に付いた餡も舐め取る。
「…ん。美味いな」
驚きのあまり、言葉もなく固まる東海道に、今度は本線が残りのパンを半分に割って東海道の口元を軽く突く。
条件反射のように口を開き、本線と同じようにパンを齧った後、指先に歯を立てた。
「………味がわからなかった」
「そうか。悪かったな」
ちっとも悪びれない風の本線にもう少し強く噛みつこうとした東海道だが、派手なくしゃみをしてしまい、計画崩れとなる。
そんな事はお見通しとばかりに、本線が東海道を温めるように抱き寄せた。
「まだ夜は冷えるから帰るか」
「ホットミルクが飲みたい。花見のアンパンには付き物だったんだ……」
[2回]
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